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SOAがなぜ流行らないか

SOAがなぜ流行らないか
 いまさらSOAかよ、という感じかもしれないですが。SOAがなぜ流行らないか、ということには分かりやすい理由があります(この場合のSOAというのは「インターフェース・ネットワーク(=サービス)指向のアーキテクチャ」という広義な意味を示します。WebServicesとか、製品はどうでもよいです)。

 荒地に種を蒔いても収穫はありません。ちゃんと荒地を耕して畑にしてから種を蒔かないといけない。しかも、一気に耕すことはできないから、耕しやすいところを見つけて一歩一歩やっていく。たぶん小学生でも理解できる。

 SOAも同じこと。SOAが求められるビジネス(=マーケット)がないのにSOAは売れません。今やるべきことは、製品を作ることではなくマーケットを耕すことです。テクノロジーの目的はビジネス価値。それが認められないものにお金を払う人はいません。


"SOA的ビジネス"とは何か
 ではSOAが求められるビジネス、つまり"SOA的ビジネス"とは何でしょうか。そのためにはSOAがこれまでのITとは大きく違う位置づけにあることをユーザーもエンジニアも理解する必要性があります。過去のITはコンポーネントとしてわかりやすいものでした。ある事務作業を効率化するためにデータベースやアプリケーションサーバという「部品」は非常に有効です。

 しかし、SOAはプラットフォームであり、インフラとしてのテクノロジーです。ビジネス全体を見通した上での最適化です。

 そういった意味でSOAへの取り組みは大きな分岐点でしょう。SOAの価値が認められないということはテクノロジーをプラットフォーム化できていない、IT Doesn't Matterの意味がわかっていないということです。そういう企業は新大陸に渡れない。

 SOA的ビジネスを説明するのに、僕が現状で"SOA的ビジネス"だと思っているものを紹介します。1つ目がグローバル・サプライチェーンで2つ目がインターネット・マーケティングです。


SOA的ビジネス:グローバル・サプライチェーン
 1つ目のグローバル・サプライチェーンというのはフラット化する世界で語られているもの。グローバルでの商品調達やサービスオフショア、アウトソーシング、これらはネットワークを通じてコラボレーションされます。かつ、より優位な条件を求めて取引先ががんがんいれ変わる。

 流通業界のCPFRなどがこれにあたります。CPFRは、企業間で情報共有(Collaborative)し、計画(Planning)立案からの需要を予測(Forecasting)することで、商品の補充(Replenishment)発注を行う取り組みです。小売の現場から製造までの情報リードタイムをゼロにすることでサプライチェーン全体で最適化を計るわけですが、部分最適を考え出すと実現は不可能です。共有、計画、予測、補充のルールをシステム化可能な形で明確するためには妥協が必ず必要になるからです。


SOA的ビジネス:インターネット・マーケティング
 一方、2つ目のインターネット・マーケティングとはWeb2.0の世界。僕からすればSOA的な要素には事欠かないのですが3つあげるとすれば、組織、スケールアウト、マッシュアップでしょうか。

 まず組織。日本人のCEOにアメリカ人のCTOがついて実装がインドなんてことがありえます。この場合、チーム間を結ぶ情報共有は時間差や認識差を埋めるために利用され、もちろん統一されたルールで運用されます。メンバーが変わったとしても教育コストがかならないようにも配慮されます。常に最適な才能をグローバルに求め続け、増員にも柔軟に対応することが必要です。

 そしてスケールアウト。mixiやGoogleの話を聞いているとスケーラビリティやスケールアウトということが良く出てきます。ビジネスがどのように成長するか予想できないから、システムもスケールアウトが可能なように設計され、常にスケーラビリティのチューニングを行い続ける。

 最後がマッシュアップ。マッシュアップはユーザー主導による新しい形のアプリケーション構築手法です。昨年のJavaOne Tokyoで発表したものでも、デブサミ2006の講演でも述べているようにSOAの延長にあるものです。下記の栗原さんテックバイザーの図がわかりやすいですが、アプリケーション統合スタイルとすれば過去から続く流れ中で考えることができます。
web20sample
(c) テックバイザー

 Web2.0では組織的にもビジネス的にもユーザー的にも変化に適応することが求められています。ここからSOAが学ぶことは非常に多い(え、Web2.0の世界でSOA製品が売れるのか?そのまえにマーケットを耕すためにちゃんと見ましょうよ)。


まとめ
 なんかSOAの話になっちゃっていますが、要はビジネスがあってテクノロジーがあるんだよと。SOAをテクノロジーだと思っていたら絶対に成功しません。すごいきちんと、でもライトウェイトに、ビジネス面からSOAに取り組むっていうのが大事なことではないでしょうか。

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コメント (2)

matsumura:

こんにちは。
昨年夏あたりでしょうか、弊社Officeで某市のシステム提案の打ち合わせの中で、某自治体のSOA基盤事例についてお話しさせて頂いたコンサルタントです。そこで最後にyusukeさんにご発言頂いた「結局当たり前の事を当たり前にやっただけですよね」という発言が印象的且つ、ある意味非常にうれしく、その後いろんな場所でそのフレーズは使わせて頂きました。覚えていらっしゃるでしょうか?

その後私は某省庁におけるサービス志向型設計(あえてSOAではなく)のアドバイザとして、細々と啓蒙を継続しているものの、ロープを引くまでには至らない状況です。とはいえその思想を継続しない限りなんの改革もなく、全く機能していないEA策定ガイドラインに、やっぱり官庁にはアーキテクトが必要だよなと思うこの頃です。

いろいろ読ませて頂いて、参考になる事非常に多くありました。私もリアルなビジネスの中に自分を置くべきだと考えていて、それがコンサルタントとなのかアーキテクトなのかが重要ではなく、現実的はな少し先の未来を見せられる立場でありたいと考えています。

またどこかでご一緒する機会があればと思い、投稿させて頂きました。

こんにちはmatsumuraさん。もちろん覚えていますとも!僕もあれ以来、御社の取り組みをSOAの良い事例として話させていただくことがあります。

僕のコメントがお役に立てたのなら非常にうれしいです。

また、どこかでぜひご一緒させてくださいませ。

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2006年12月21日 21:21に投稿されたエントリーのページです。

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