ヒトデはクモよりなぜ強いは、組織論とウィキノミクスの間のような内容。事例そのものに目新しさはないもの、あらためて組織という側面から考える視点を与えてくれました。
クモは頭がなくなれば動かなくなるし、足が欠ければバランスが悪くなる。でも、ヒトデは足を切っても回復するし、切った側が新しいヒトデになる。 クモは中央集権型組織を意味しますし、ヒトデは分権型組織を意味しています。
でも、クモもヒトデも似ているので勘違いしてしまう人がいる。インターネットに責任者はいるのか?とかです。
前半は分権型組織の素晴らしさと、それを破壊しようとしてもうまくできない中央集権型組織の戦いを紹介しています(スペインとアパッチ族、カザーと音楽業界)。一方で、中央が存在してしまった分権型組織の敗北(ナップスターには中央サーバがあった)と、その破壊がさらなる分権化(カザー)につながる。
また分権型組織を維持するためには触媒となる人や伝道者、そしてイデオロギーが必要であると。だからこそ、分権型組織に「財産を交換」を教えることで崩壊させた事例(アパッチ族に牛を与える)などなど。
後半は分権型だけでは企業として成り立たないことから、中央集権と分権を併せ持つハイブリッド組織を紹介しています。スカイプ、eBay、そしてトヨタ。
さて、トヨタ。改めて、その分権型組織としての強さを認識すると共に、いまのIT業界におけるトヨタ信奉への違和感を覚えました。
確かにトヨタの分権型組織は優れているし、そのために必要な計測を提供する「見える化」という概念も素晴らしい。だからこそ、現場主導で改善が発生し、アンドンやカンバンといったプロセスが生まれるわけです。
しかし、アンドンやカンバンは、あくまでも「自動車を作る」ために特化した改善です。トヨタの組織形態は素晴らしいが、そこで生まれた「自動車を作るために特化した改善」までも無条件に信じていいのか。もちろん、素晴らしいインスピレーションは与えてくれるけども。
IT業界なりのアンドンやカンバンは存在しないのか?トヨタから学ぶべきは組織の在り方であって、具体的な手法ではない気がしています。
![]() | ヒトデはクモよりなぜ強い 21世紀はリーダーなき組織が勝つ オリ・ブラフマン/ロッド・A・ベックストローム 糸井 恵 日経BP社 2007-08-30 by G-Tools |


コメント (6)
通っている会社で使っているのを見たことがあります。行灯。
http://www.ogis-ri.co.jp/otc/hiroba/Report/OOPractice3rd/
社員が米国土産で買ってきて、暫くは使っていたみたいです。もの珍しくて・・・。
半年あまりで飽きたみたい。
投稿者: Paul Nakagome | 2007年12月28日 16:41
日時: 2007年12月28日 16:41
情報ありがとうございます。カンバンやアンドンが使われているのは知っているのですが、トヨタ社内における重要性と同じぐらいの価値があるかというと、もっと別に努力するところがあるのではないかなとは思っています。
単なる感覚なのですけどね。
投稿者: yusuke | 2007年12月28日 16:55
日時: 2007年12月28日 16:55
> もっと別に努力するところがあるのではないか
おっしゃるとおり。大賛成です。
例の行灯を使っている、あるソフトウェア製品ベンダーの会社で、私はよく文句を言っています。
「自動車産業の製造というのは、金型作った後にやることで、何千、何万という製品を、殆ど機械的に複製することを指す。これは、ソフトウェア産業でいえば、コンパイルやビルド、または媒体コピーなどに相当するものだ。
しかし、ソフトウェア産業で製造と呼ばれるのは一般に、原始コードを書いたりすることなどを指している。自動車産業でいえば、むしろ金型を作るまでの部分に似ている。デザインの延長であって、知的で創作的で、かつ技芸的な要素の色濃い作業なのだ。
これを行灯で何とかしようとすることをナンセンス以外になんと形容できようか。」と。
まあ、四面楚歌なのですが。
投稿者: Paul Nakagome | 2007年12月31日 01:04
日時: 2007年12月31日 01:04
まさに。それぐらいまで強烈に言ってこそ見えてくるものがあると思いますよ。
これまでの製造業的な視点を抜けて、まさにIT業の視点に立てるかどうか。
技芸の効率化とは何か。レバレッジが効く仕事とは何か。面白いテーマです。
投稿者: yusuke | 2007年12月31日 13:40
日時: 2007年12月31日 13:40
それにしてもあのビッグスリーを倒産寸前にまで追い込むなんて日本の金型技術 は凄い。今ホワイトハウスで公聴会が開かれ、日本車と比べて環境対応が遅れた原因について調査が行われているようですが、原因はハイテンの使用率が低いということ。米国の金型技術力は低くてハイテンに耐えられず、ハイテン部材を多く使用できなかったようだ。もっとも、背後には金型素材を開発した日本の工具鋼メーカーのおかげもあるんだけど。
投稿者: 岡谷 | 2009年01月28日 23:16
日時: 2009年01月28日 23:16
それって、日立金属さんのS-MAGICですか?私も使っていますが抜群の耐久性があります。
投稿者: 愛チタン | 2010年11月27日 20:07
日時: 2010年11月27日 20:07