僕の軸足はエンタープライズです。その中でも現場のスタッフが使うようなシステムにフォーカスをしています。例えば金融取引のシステムとかは、あまり興味がありません。顧客は組織で、その組織のパフォーマンスをあげることがミッションになります。システムそのものが儲かるというよりも、スタッフの力を引き出すことで成果をあげていく。
僕は、顧客の組織をハイパフォーマンスにする仕掛けをソフトウェアで作り出せないのか、と常に考えています。
ただの組織には
1.目的
2.ワークフロー
3.必要な能力があるヒト
があればいい。
それだけではなくて"ハイパフォーマンスな組織"にしたいなら、
1.ビジョンの共有
2.効果的なコミュニケーション
3.多様性のあるコラボレーション
が必要です。
この後半の3つを達成するソフトウェアを作る事ができないか。
が、ここでもう1つ知っておくべきコトがあります。「ソフトウェアに下の3つができるなんて、おこがましい」のです。CMSでビジョンを発信?グループウェアでコミュニケーションを効率化?SNSでみんながつながる?だからといってハイパフォーマンスな組織ができるわけじゃない。それが出来てたら、世の中、ハイパフォーマンスだらけです。
今の時代、ソフトウェアはコミュニケーションの形を変えてしまいました。インターネット上のサービスは智の集積に対して信じられないぐらいの力を発揮しました。人間の歴史の中で、これほどグローバルな協業が実現できている時代はありません。最近ではtwitterやtumblr、Google Waveとリアルタイム化が促進され、新しいコラボレーションモデルが生まれつつあります。
でも、そもそもソフトウェアはコミュニケーションに対して制約として働かないのです。Twitterの140文字も、はてブの100文字も、tumblrのDashboardに並ぶアイコンも制約でしかない。対面で話しているのに比べて、いかに貧弱なコミュニケーションしかできないか。
でも、その制約が、新しいコミュニケーションの形態を産むのではないか。タイトルの「ソフトウェアが人間を創造的にできないか」という言葉は、隈研吾さんの「制約だけが人間を創造的にする」という言葉に引っかけています。
もちろん、twitterやtumblrを意図して設計するなんてできることではありません(当事者達も信念はあっても、確信があるわけじゃないはず)。ソフトウェアが組織をブーストするというのは結果論でしかなく、狙ってやれるモンじゃない。でも、そこに近づこうと日々努力はしなきゃいけない。そして、ある日、何かに出会って生まれる物があると信じておくべきだと思います。
いまのシステム開発は、リアルな世界をトレースすることに集中しすぎている気がします。でも、本来はソフトウェアでしかできないこと、ソフトウェアが可能にすることに集中していかないといけない。だって、現実世界は本当に豊かで、ソフトウェアなんかで再現できるようなもんじゃないから。
少なくとも僕は、組織や個人をエンパワーすることにソフトウェアを使いたいと願っています。おこがましいことは分かっているけど、その可能性に賭けてみたい。ソフトウェアという制約が、世界を広げる手伝いができるのではないか。「パターン化は世界を狭くし、そして爆発的に広げる」に書いたことも、そうかな。ちなみに、このエントリにも棚橋さんに反応いただきましたね(ペルソナは用途を狭くし、そして爆発的に広げる)。
僕はソフトウェアがもたらす未来を見てみたい。現実世界とは離れた、すごく狭くて原始的なセカイかもしれないけど、ソフトウェアには可能性がある。そう信じています。
