僕たちは何を設計するのか―建築家14人の設計現場を通してより。最近ではルイ・ヴィトンの仕事でも有名な青木淳さん(Wikipedia)の言葉から。
ルイ・ヴィトンのようなブランドショップの場合、外装というのは非常に大きな要素となります。ですが、
外装が単なるパッケージ・デザインになってしまうことに、ものすごい抵抗感がありました。パッケージ・デザインというのは、表層が表層にとどまり、建築内部の問題には関係しないといったデザインのことです。<中略>でも、それでもそれを内部と、あるいは周辺外部との関係で成立させたかった。
この抵抗感から、青木さんは1つの結論を出します。
内部とか外装とかが、まず存在しているということを疑うこと、と。<中略>外装が事後的に立ち現れるようなあり方で存在することはできないだろうか
この感覚を水と油の境界面にたとえています。
水と油の境界面は、水と油が接することの結果認識される非実体であって、現象です。まず境界面があって、それを境に水と油に分かれるということではありません。お店という内部と街という外部がせめぎ合って、その結果が外装になる方法があるのではないか、と考えたわけです。
そこでモアレという現象としての外装に注目をするわけです。名古屋栄、銀座松屋など多くのルイ・ヴィトンショップでは半透明の市松模様(ダミエ)が描かれたガラスが2重につけてあり、歩くたびに重なりが変化して表情を変えます。
「結果としての知覚される非実体」という考え方は非常に興味深いものです。モノの形は、モノそのものが自発的に決めるのではなく、外部や内部との関係性によって決まります。高さ数キロの超巨大建築が難しいのも、数十センチの超小型建築に意味がないのも、重力にあがなえなかったり、人間の身長以下の建物は使えないからです。
同じようにアーキテクチャを決めるのも周りとの関係です。深澤直人さんの「選択圧」に影響を受けていますが、外側からの圧力と内側からの圧力の"かみ合わせ"を行っていく作業がアーキテクチャを創ることだと考えています。
外側からの圧力(外圧)とは、使う視点から見たもの。内側からの圧力(内圧)は、作る視点から見たもの。
アーキテクチャを球体としてとらえると、外圧と内圧のかみ合わせのバランスが全体として取れており、美しい球体を保っているのが良いアーキテクチャです。いびつに歪んだり、デコボコがないように。
ある要求が外圧としてかかった時に、それを受け止めるだけの内圧を導く。あるいは、パターンとして内圧を用意し、そこに導くように外圧を定義する。こうしたことを行うのがアーキテクチャの役割です。
圧は常に世界に満ちています。それを発見して理解し、分析して整理し、アーキテクチャとして表現していくのがアーキテクトの役割なのです。
形なきものに形を与えられるのは人間が持つ物語性です。いかに豊かな物語を描くことができるのかが大事です。
hirokiさんのデザインの輪郭を決める3つの制約条件を読んで、突然、青木さんの文章を思い出してエントリしてみました。hirokiさんはデザインの輪郭を決める3つの制約条件としてユーザー、企業、技術という3つをあげています。僕の言い方ではユーザーが外圧、技術が内圧にあたります。そして企業というのが次。
企業:人間中心設計プロセスに従ってユーザーが欲しいもの、必要にするものが何かを理解できたとしても、実はそれだけではものの形を決めることはできません。なぜなら、ユーザーが欲しいもの、必要なものは複数あるからです。デザインの輪郭を絞り込むためには、企業が何を実現しようというのかという哲学、ヴィジョンもまた必要なのです。
これ、いいですね。哲学、ビジョン。僕が言うなら「ITアーキテクトの哲学、ビジョン」です。hirokiさんだと「デザイナの哲学、ビジョン」って気もします。
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