« 情報をモノ化させるインターフェース | メイン | モデリングの本質(石川初さんがオモシロすぎる件) »

パラメタで自分の思考を理解する

 「最近の若者は綿密に計画を考えすぎてしまって、動けなくなる場合が多い」という話を聞きました。確かに思い当たる節はあります。判断にあたり、いろいろなことをパラメタとして大量に書き出していくものの、数が多すぎて判断がつかなくなる。
(こういう話を書いたり、飲み屋で語る自分を見つけると、歳を取ったなと思うわけですが)


パラメタによる検索
 こうした状況ってインターネットの功罪だなと思っています。ネットで調べものをするときには必ずパラメタを意識します。転職サイト、賃貸サイト、価格比較サイト...こうした情報系サイトでは、パラメタにチェックをし、値を選択して検索を実行します。だから、パラメタが多いほど使い勝手が良いと感じるのではないでしょうか。

 若者と言われる世代は中学生ぐらいからネットで調べ物をしているでしょうから、こうした情報探索の方法に馴れているでしょう。調べるというのは、本を頭から読んでいくことではなく、ちょうど良いパラメタを発見し必要な情報に直接アクセスするということなのです。

 こうした思考に寄りすぎると、パラメタがないと情報にアプローチできなくなる危険があります。だから、対象カテゴリのパラメタ探しをせずにはおられない。


フレーム問題による判断不全
 ですが、こうした考え方はだけでは判断をすることが難しくなります。それはフレーム問題に陥るから。哲学者ダニエル・デネットが示した話を紹介します。(以下、全文はWikipediaで)。

 洞窟の中のバッテリーをロボットに取りに行かせたいけどバッテリーには爆弾がついている。1号機はバッテリーを持って帰るけど、爆弾がついていて爆発してしまう。ようは行動による副次的な効果を理解していなかった。
 そこで2号機は、起こりうる副次的な問題を予測するようにした。ところがバッテリーの前で停止してしまう。無関係な問題(バッテリーを動かすと壁の色が変わるのではないか、など)まで無限に考えていたから。
 というわけで3号機は無関係なことは考えないようにしたけど、今度は一切動かない。動き出す前に無関係なことを全て洗い出そうとして無限に考えてしまった。

 対象について考えられるパラメタは基本的には無限にあります。もっと重要なパラメタがあるのではないか?それを考えて始めてしまうと無限の思考に陥ってしまう。これでは一生判断することができません。


知らないことで間違うことはあり得る
 そもそも判断とは限られた資源(時間、情報など)の中で行うものです。全ての情報を知り得ることができない以上、「知らないことがあって、判断が間違う」こともあると理解すべきです。「間違えたくない」と思ったとしても間違えることがある。それは受け入れるしかありません。

 だとしても、猪突猛進、直感を信じろということではありません。限られた資源の中で、より効率的な判断手法を持っていた方が良いわけです。


対象物ではなく、自らの思考をパラメタ化する
 こうした場合にパラメタが実はすごく有効です。有効に使うためには、パラメタを主観的な視点で設定する必要があります。つまり、対象物のパラメタを考えるのではなく、自分の思考のパラメタを考えるのです。まず自分が何に価値をおいているのかを、自分自身が正しく理解することができます。

 こうすることで、大量の情報にぶつかっても取捨選択がやりやすくなります。

 自分の思考なのでパラメタは少ないほど良いです。3つぐらいがよいでしょう。増やしても7個を超えてはいけません。洗い出しにはKJ法やマインドマップが有効です。あとはジョハリの窓やプロダクト・ポートフォリオマネジメントのようなグラフモデルは整理に役立ちます。


 「間違うことはある」。間違えたとしても、そこから学ぶためには自分が何を考えていたのかを理解しておくべきです。パラメタは、そのために役立つものだと思っています。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.arclamp.jp/mt33/mt-tracback.cgi/2597

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2008年10月11日 23:25に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「情報をモノ化させるインターフェース」です。

次の投稿は「モデリングの本質(石川初さんがオモシロすぎる件)」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Creative Commons License
このブログは、次のライセンスで保護されています。 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス.
Powered by
Movable Type