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見えがくれする都市

 見えがくれする都市―江戸から東京へ。こういう本、好きなんですよねー。

都市や建築物は、人間集団の持つ深層意識が時間をこえて造形する対象であるとするならば、我々の都市への理解の第一歩は、そうした人間集団の深層心理が、都市の形態にどのようにあらわれてきたかを読み取る作業から始めなくてはならないのではないか

好ましい環境性とは、個別にあらわれた工夫とか、お金のかけ方ではなくて、むしろ、多くは、ある地域社会なり集団が歴史的に持ち続けてきた環境への願望が、形態とか、空間に照射され、維持された場合であることに気づいた。

 物事の構造には必ず理由があります。特に都市やシステムのように時間をかけて構成されたものは、結果としてあらわれた構造が、ひどく不規則でいびつなものに感じてしまいます。それは集団の思いが時間経過の中で積み重ねられてきているからです。ですから、そこをちゃんと把握することで集団の持つ本質に気づくことができます。

 そのためには構造を抽象化しパターンを発見しなくてはいけません。たとえばイタリアの街並みと東京の下町を見てみます。

(イタリアの)街路風景の構成要素は道と建物であるといってよい。ところが、東京の街路風景は道と建物と言ったのでは適当ではない。<中略>建物とからみあい複合した全体が、街路風景の立面を構成している。

これまでの建築論や都市論には道際に置かれた諸要素の複合全体を呼ぶのに適当な用語が見当たらないので、新たにこれを表層と呼ぶことにする。そうすると、街路風景の構成要素は道と表層であると言うことができる。上述のイタリアのまち並の例も、表層が建物のファサードだけから構成されている特殊な一形態として、まとめて扱うことができる。

 イタリアと東京は違う、というのではなく「表層」というキーワードによって共通の理解をしようとしているのです。そして、タイプを発見します。それが主屋と道の関係です。主屋を1次面、道に面するのを2次面と定義し、"1次面と2次面の距離(離れている/近接している/一致している)"と"2次面の透過性(壁的、格子的、標識的)"という2軸に分類することで、それぞれ3×3のマトリクスを組むことができます。

 本書では、これ以外にも道や門といったものが、どのような理由によって構成されているのかを解説していきます。例えば東京の下町が埋立地でありながらきれいな格子上ではなく、いくつかの格子が複雑に絡み合っている理由を「富士見坂に代表されるように、景色にたいして道を引くという感覚があるから」と説明します。


 システムも同じです。現状を単に「不規則、変」というだけではなく、そこにある本質を理解することが重要です。そうすることによって、あらためてデザインを見つめることができるのです。


4306051625見えがくれする都市―江戸から東京へ
槙 文彦
鹿島出版会 1980-01

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2007年04月07日 23:53に投稿されたエントリーのページです。

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