梅田さんによるサバティカル前、最後の本「ウェブ時代 5つの定理 この言葉が未来を切り開く!」。僕も金言マニアですが、梅田さんも同じ趣味なんだと知って、妙に納得しました。言葉からは勇気をもらえますよね。
さて、この本の副題にもなっていますが、やはり
make the world a better place
という言葉が好きですね。
尊大と言われも、やっぱり、そこを見ていないといけない。梅田さんが理系的な発想として
原発から微細加工部品まで、何かの製品やシステムを見たら、それがどういうメカニズムでつくられているか、どうやって動くものかを理解し、それを自分ならどうつくるかを考える。そういうふうにいつも頭を働かせているのです。
と書いていますが、実際には、製品やシステムだけでなくて世界そのものに対して「どうやって動くのか?」と考えています。そういう発想を持つ人たちがどうやって生きているのか。
個々人の日常が善い行いだけでできているわけではありません。でも、総体として善い行いにコミットする。そういう、ある種の矛盾を前提としています。これはコミュニティの基本的な考え方でしょう。そして、企業として体現しているのがGoogleです。
最近、あらためて組織や会社の意味を考える機会が多いのですが、ようやくGoogleのすごいさが分かるようになってきた気がします。
上下関係を作るな、複数の帽子をかぶれ、データを使え、自分からコミットせよ、そして「世界を変えろ」。自分が思う組織の理想的な姿ですが、どれも簡単なことではありません。人はパワーストラクチャーが好きだし、役割を規定したがるし、政治が好きで、与えられたものにすがり、現状維持をしようとします。
Googleを実現するのにトリプルAの人を集めることも大事だろうけど、それ以上に徹底的にGoogleの仕組みを作っているはずです。仕組みといっても、組織体や給与形態とか、そういうもの目に見える仕組みは大事ではありません。もっと、本質的で曖昧なもの。
これは総体としてのチームやプロジェクトへのアプローチです。LinuxやWikipediaは「全員どころか、一部の人と話すだけで精一杯」という前提で、総体をマネジメントします。よく「社員一人一人と対話を大事にしたい」と言ったりしますが、あれとはまったく違うもの。
人は大事です。だからこそ「その人じゃないとできないこと」は間違いなく重要ですが、それだけではプロジェクトとしての持続性が保てない。人が変わることで、常に総体としての最適な形に変わりながらも、メタ的な意味で一定の方向に進み続ける。企業や会社という形態が手段に過ぎないという達観。
そのために必要なのがメタ目的、ビジョンです。これが「make the world a better place」という言葉に集約される。
ある意味ではブランド。でも、ブランドとも違う。これまでブランドは企業の中にあるものでした。ですがメタ的なビジョンは企業とは違う次元にあるものです。文化に近いもの。
この仕組みを維持するためには膨大なエネルギーが必要です。分かりやすいものを維持するのが簡単ですが、曖昧で変わるものを維持するのは大変。Google経営陣のパラノイア的なこだわりはアリエナイの一言に尽きます。経営者そのものが経営(エリックの言葉ではrun the company)という行動をしている気がします。
初めてcnetで梅田さんの文章を読んだときから、ある意味で同じことを感じているし、ある意味で違うことを感じています。そして今、もっともっと行動したいと思います。言葉の意味は、体で学ばないと。さて、やりますか。
![]() | ウェブ時代 5つの定理 この言葉が未来を切り開く! 梅田望夫 文藝春秋 2008-02-28 by G-Tools |

