残念ながらITアーキテクトも今月号で休刊になります。先輩諸兄に混じり僭越ながら(←こんなこと言えるのもあと数年だから使っとく)特集1『これからのITアーキテクト/開発者のあり方』に寄稿させて頂きました。
テーマは編集長の名須川さんから投げかけられてものです。
そもそも、私が本誌を創刊したきっかけは、経済のグローバル化によって国際的な分業化が進み、システム開発の実装工程を周辺国の安価な労働力に頼ろうとする傾向が強まる中で、国内の開発者は今後どのような立ち位置をとり、どういった領域の活動/スキル研さんに力を注げばよいのかを考えたことにありました。それについて考える中で、オープン化の進展によってシステムの複雑化が進み、その一方でITシステムに対する要求が高度化/複雑化する中で、企業が自社のシステムを的確にガバナンスしつつ、単なる効率化の範疇を超え“ビジネス・テクノロジー”としてITを活用していくうえで、鍵になるエンジニア像として「ITアーキテクト」を見いだしたのです。アーキテクトという名を冠するかどうかはともかく、企業がITを有効に活用していくうえで、今後もこの役割が重要であり続けることは間違いないと確信しております。特に近年は、クラウド・コンピューティングなど、企業システムのあり方/持ち方を大きく変えると見られる概念/技術も登場してきました。こうして時代の変わり目を迎えた今、ITアーキテクトなど開発者のあり方は、この先どうなっていくとお考えでしょうか。ぜひ皆さんの見解をお聞かせください。
何を書こうか迷ったのですが、斜め上担当としてはでっかく書かねばと思って以下のように答えました。
「良いシステムとは何か?」と問われ、読者は何を思い浮かべるだろうか。拡張性に優れ、十分なパフォーマンスを有し、メンテナンスが容易なシステムだろうか。確かに、これらは重要な要件であるし、ITアーキテクトが取り組むべき課題に思える。しかし、私はこれらの特性を備えるだけで良いシステムだとは言えないと思っている。システムの価値は本来、「社会におけるユーザーの価値をどれだけ高めたか」によって測られるべきだ。もし、この目標が達成できないのであれば、前述の項目がいかに優れていようとも、そのシステムはガラクタにすぎない。この考えに立つと、システムの価値を測るには、「システムそのものと、システムを取り囲む環境との関係」を評価する必要があることがわかる。つまり、あるシステムの価値は、それが使われている環境によって異なるのだ。
われわれはこれまで、システムそのもののことばかりを考えてきた。だが、ITアーキテクトは、システムの外側へ、システムが置かれた環境へと目を向ける必要がある。それは、システムを使うユーザーや、その先にいる取引先、消費者について考えるということであり、さらにはマーケットや社会に目を向けるということだ。これを真剣に考えるならば、システム開発に際してはさまざまなリサーチ(ユーザビリティやエスノグラフィ、マーケティングなど)が必要になるだろう。われわれは、システムが使われる環境について、あまりにも無知なのだ。 つづく...
リサーチの必要性については強く感じているところで、これから取り組むべき重要なテーマだと思っています。ビジネスとITをつなげるというのはよく言われていることです。では、そのために何をすべきなのか。
僕らはクライアントとともに未知の領域に行かなくてはいけない。そのためにはクライアントの言うことを聞くのではなく、クライアント自身の可能性をクライアントと一緒に見つけていく必要があります。そのヒントをもらうためにユーザーを見つめるのです。まず分析すべきは自社のことではなく、ユーザーのことではないでしょうか。
例えば「利益を倍増したい」という依頼が来たのであれば、"お金をお支払い頂くお客様(売上UP)"や、"効率化されるスタッフ(経費DOWN)"のことを調べるのです。象牙の塔で仕様を決めたりアーキテクチャを設計していて、本当にユーザーの問題を解決できるのでしょうか。システムは人に使われてこそ価値が出るモノです。「いかに使われるか」という視点は、もっと注目されるべきなのです。
他にもIBM榊原さん、匠Business Place萩本さん(お二人とも97本にも寄稿いただきました!)、豆蔵の羽生田さんなど示唆に富む言葉ばかりです。ぜひ、ご覧あれ。
ところで、表紙に気付きました?アントニ・ガウディの代表作サグラダ・ファミリアですよ。1882年に着工し、最近の予測では完成は2256年前後だとか[Wikipedia]。これからもアーキテクチャは作り続けられるし、まだまだ未完である。しかし、いつか完成する日を夢見て次の世代へと受け継いでいく。そんな心意気を感じました。
ITアーキテクト Vol.25 (IDGムックシリーズ)
ITアーキテクト編集部
アイ・ディ・ジー・ジャパン 2009-09-25
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