ITを本当の意味でサービスにするとは、どういうことでしょうか。それはヒトの作業を代替することではなくて、ヒトを支援すること。そして、IT自身は透明になっていくのです。
デブサミ2009の講演「【12-C-1】不確実時代のアーキテクチャを予言する」向けにプレミーティングをしていて、非常に面白い話を聞きました。
ホテルオークラで情報システム担当をしていた石原 直さんは成田の発着情報のオンライン化に尽力された人(その後は芝パークホテルの社長、会長。現在はNPO法人旅行電子取引推進機構理事長)。
じゃ、オンライン化されて入手した発着状況をどう使うのか?
普通のホテルならロビーのインフォメーションパネルに情報を流しますと。そして、自由に宿泊客がみれるようにする。
でも、オークラは宿泊客から情報を隠してしまう。そして、しかるべき時に取り出せるようにする。つまり、宿泊客にサービスする瞬間に、従業員が入手できるようにしておく。
「○○さま、飛行機の到着が1時間遅れているようです。よろしければ、ラウンジにてゆっくりされていってはいかがでしょうか?」
ホテルオークラはITに何を望んでいるのでしょうか?それは「従業員に代わって発着状況を知らせるIT」ではないのです。
ホテルオークラの最大の関心事は宿泊客へのサービス向上です。ITは、サービスを産み出す従業員を支援するために存在する。
この瞬間、ITは透明になります。宿泊客はITを目にすることはありません。自らの関心事である「自分が乗る飛行機の情報」だけをホテルマンから的確に把握し、そしてホテルオークラのサービスに満足して帰っていく。
これからのITに求められることはヒトの作業を代替することではないのです。大事なのは「ヒトが判断し、行動し、価値を産み出す」、そのことそのものを支援すること。そして、結果としてITは透明になっていきます。
「ITをサービスにする」とはどういうことか。この事例は考えさせられます。
