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群盲、象を"表す" 西村佳哲@デブサミ2009

 デブサミ2009で行われた西村佳哲さんの講演「テクノロジーは世界をインターフェースする」。期待通りの内容でした。

 最初は西村さんの様々な作品を紹介。その1つsensorium(センソリウム)は1996年から始まった活動で、インターネットを利用した様々な表現を行っていました。

 まずはBreathing Earth。「呼吸する地球」は世界中で起きた地震のデータを震源地と震度でプロットしたもの。もう、見たまんまではありますが、いかに地球がぼこぼこ動いているのか分かります。当時、核拡散条約に基づいて、全世界の核実験を監視するために震度情報が公開されていたそうで、そのローデータを加工したモノです。

 続いてNIGHT AND DAYは、世界をぐるりと取り囲むように24台のウェブカムでつないで表示したモノ(動かないみたい)。渡辺保史さんが紹介しているので、そのページを見てください。


 西村さんが言われていたことで面白かったのは、「分散されたデータは、分散して表現するのがよい」ということ。

 「群盲象を評す」という言葉あります。盲人達が象を触ったところ、脚に触れたモノは丸太だといい、尾に触れたものは箒だといい、耳に触ったものは団扇だといい、牙に触ったものは角だという。意味としては「視野の狭い者は、いくら集まったところで、本質を理解することは難しい」と言うことです。

 でも、西村さんは言います。

そうやって表現しているのも正しい象の姿

 これはすごく面白い指摘です。小さな視点の集合体は、それはそれで真実、正しい表現なのだと。だから「群盲、象を"表す"」。

 情報システムをやっていると、どうしても大きな視点でものごとを考えがちです。モデリングをして、その枠にいろんなものをあてはめていく。だけど、個々に起きている事象を、なんらかの形でプロットしていけば、そこに新たな真実がみえる。西村さんを紹介していただいた石川初さんが言われてた「虫の目と鳥の目」に通じるものです。


 最後、西村さんは"ものづくり"に言及します。

ものづくりは「考える」「つくる」「つかう」の連続です。あらゆる道具はそうやって作られてきました。フォークも昔はナイフだった。ソレが二叉になり、三つ叉になり、一旦、四つ叉になったあと三つ叉で安定します。ボタンもポケットも、同じように最初は何もないところから作られて、いまココにある。

でも、「考える」「つくる」「つかう」が分断されてきたという歴史もあります。最初は農耕化、つぎは工業化。工程を分業し、効率化することがおこなれている。たとえばデザイナに『あなたの仕事は?』と聞くと考えるだったり、つくるのはじめだったり、あるいはデリバリの部分だけだったり。

そうなると創造性が局所化してしまって、大きく考えることが出来ない。

ものづくりの創造性とは、「考える」「つくる」「つかう」という全体をデザインすることなのです。

 分業による効率化は確かにとても大事なこと。でも、我々は「つくる」ことだけに血道を上げている訳ではありません。「考える」「つくる」「つかう」という、ものづくり全体を創造しているはず。
 たぶん、デブサミをやっている大きな理由がココにあります。デブサミにくると多様な価値観に出会えます。ソフトウェアを考えるヒト、作るヒト、使うヒト。それらすべてが合わさって価値あるソフトウェアを作れるはず。

 だけど、一方で僕らひとりひとりはプロジェクト全体では小さな視点なのも事実。全体を見通す神様は存在しない。だから、ひとりひとりが精一杯表現して生まれたモノが、ふと動き出して、全体として意味を持つ。「群盲、象を"表す"」ようなプロジェクトやアーキテクチャができないのかなと思っています。

 
 西村さんからのメッセージです。

この場はデベロッパー・サミットだと聞いています。ソフトウェア・サミットでも、プログラミング・サミットでもありません。つまり、皆さんはデベロッパーです。デベロッパーとは何か?皆さん自身で、もう一度、問い直して欲しいです。

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2009年02月14日 20:00に投稿されたエントリーのページです。

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