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形態は機能にしたがうか

 先日、建築系の方と話をしたときソフトウェアにおいても「形態は機能にしたがうか」ということで盛り上がりました。


Form Follows Function
 「形態は機能にしたがう(Form Follows Function)」というのは近代建築の祖といえるバウハウスが提唱したコンセプトとして有名です。機能主義とも呼ばれますが、形態つまり見た目や形は機能に従うという考え方です。

 Form Follows Functionという言葉自体は19世紀の生物学者ジャン=バティスト・ラマルクが提唱した用不用説という進化論で使われている言葉です。彼は研究を通じて進化が存在することに気づき、

動物がその生活の中でよく使う器官は、次第に発達する。逆に、はじめから存在する器官であっても、その生活の中で使われなければ、次第に衰え、機能を失う。このことは、我々の体でも起きることであり、自明のことと言ってよい。

そこで、彼はこのようにして生涯の間に身につけた形質が、子孫に伝わるのだと考えたのである。野外では、多くの動物は一定の環境下で何千、何万年にもわたって世代を繰り返すから、世代ごとの蓄積は少しであっても、それが続くことで次第に大きな変化となると考えたわけである。


個体が身につけた形質が遺伝するか
 彼の指摘が後のダーウィンに引用されていることもあり先進的なアイデアであったことは間違いないでしょう。ですが、彼がいう「個体が身につけた形質が遺伝する」という主張は遺伝子の発見によって否定されています。生物学的には人の形質は遺伝子によって決定します。彼の主張のように個体が身につけた形式が遺伝するとなると、遺伝子に書き戻しが発生することになってしまうのですが、実際にはそんなことはおきません。

 彼の主張は「神が万物を司るがその仕組みは生物学的に説明できる」という神の理解としての科学です。エーテルの存在など、いまにしてみれば非科学的ですが思想としての着眼点は面白い。生物化学的にはラマルクの主張は間違いかもしれませんが、僕は正しい側面もあると思っています。
 親から子に受け継がれるのは遺伝子だけではなく環境や教育も含まれるます。偉大なアスリートの息子が優秀なアスリートになるのは、遺伝的な要素も大きいでしょうが、育てられた環境や教育方針にも大きく関係しているはずです。行動学としてみれば発達過程で獲得した能力は大きな要素となります。


ソフトウェアでも形態は機能にしたがう
 さてソフトウェアについて「形態は機能にしたがう」が成り立つかということですが、かのPaul Grahamは、ものつくりのセンス(原著:Taste for Makers)で

バウハウスのデザイナーがサリヴァンの「形態は機能にしたがう」という方針を採用した時、彼らが意図したのは「形態は機能にしたがうべきである」ということだった。そして機能が難しいものであるなら、形態もそれに従わざるを得ない。誤りを犯す余地は無いからだ。野性の動物が美しいのは、彼らが困難な生を生きているからだ。

 と述べています。ですが「形態は機能にしたがう」という言葉は非常に難しい。


形態は環境にしたがう
 ラマルクの言い方は「キリンは首を伸ばしたから首が伸びてきた」というように生物自身が選択的に進化を行ったというものです(他の説はなぜキリンの首は長いのか)。もし、そうだとしたら高いところの葉を食べたいという要求があったから。でも、そのためなら足が伸びても、舌が伸びでも、体が大きくなっても良いわけで、キリンはあえて「首を伸ばす」という機能を自ら選択したわけです。

 キリンの思考プロセスは

 1.高いところに食べられる葉があることを知った
 2.競争なくご飯を食べる未来を感じた
 3.高い葉を食べるという要求を定義した
 4.長い首という機能を定義した
 5.首を長くした

 ということになります。言い換えるに

 1.環境認知
 2.ビジョン定義
 3.要求定義
 4.機能定義
 5.実装

 となります。これステップのたびにキリンの解釈が入ります。いかなる環境に気づき、いかなるビジョンを考え、いかなる要求をひねりし、そこから解決となるいかなる機能を導くか。それはキリンの感性に任せられてしまう。

 「形態は機能にしたがう」には賛成。しかし、機能の手前には色々なステップがあるし、個人の感性によるところが非常に大きい。大事なことは自ら環境を感じて、そこにどんな未来があるのかを考えること。その上で形態を機能に従わせればよいと思います。僕なりにいえば「形態は環境にしたがう」。

 僕らの仕事を普通に考えてしまうと要求があって、それを解決するための機能を構築する人。でも、そこから一歩進んでビジョンを感じさせることができればいいなと思っています。


9/11 誤字修正

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コメント (2)

izu:

from follows function

fromじゃなくてformじゃないですか?
多分…。

izuさん、お久しぶり。多分じゃなくて、そうです(恥

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2007年09月08日 14:48に投稿されたエントリーのページです。

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