梅田さんの「ウェブ人間論」と近藤さんの「「へんな会社」のつくり方」を読みました。
ウェブ人間論の面白いところは、エスタブリッシュ層を理解しながらもウェブの進化を"信じ"ている60年生まれの梅田さんと、リアリティを持ってウェブの進化を"感じ"ている75年生まれの平野さんの対比ではないでしょうか。
平野さんが保守的に見えるけど、そうじゃない。リアルに感じているからこそ、ウェブ進化の本質を感じるからこそ臆病にならざるを得ない。一方の梅田さんは、やっぱり道具としてしかウェブ進化を見られていないんじゃないのか。そんなことを感じます。
僕も近藤さんや平野さん(そして江島さん)と同じ75年生まれ。ゴールデンエイジと括ることに意味はないのかもしれないけど、なにか共感を覚えます。
ダークサイドに落ちない訳
エジケンがグーグルが無敵ではないことはエンジニアだけが知っているで書いた言葉。
それがどんなに先鋭的な専門分野であれ、口には出さずとも同等以上にわかってる奴はつねに100人はいる。それを論文にまとめたりブログに書いたりできるやつが10人ぐらいいて、本気でそれの実現に自分の人生を賭けるやつは1人しかいないっていうだけのことさ。
この「人生を賭ける」ほどの狂気と行動主義は僕らの世代が信じる何かです。それでいて、その狂気が簡単にダークサイドに落ち込まないのはなぜでしょか。
僕はダークサイドというのは社会性のある欲望(富、名誉、地位、権力)を手に入れることだと思っています。昔風にいえば「奪う」、今風では「すくいとる」という感覚。どちらにせよ社会の中にある欲望のサイズは決まっているから自分の欲望をかなえるためには他から奪うしかない。そんな前提があるように感じます。
でも、僕らはそんなことを思いもしない。ネットにいる僕らはネットの向こうにいる"誰か"をリアルに感じています。僕らが所属しているであろう「否応もなく巨大な」社会なんて感じられなくて、感じるのはただ目の前にいる個だけです。
彼らは話をしてくれて、こちらから話かければ答えてくれて。リアルなコミュニケーションがそこにはあります。
収益から収穫へ
そんな"彼ら"の集まりから何かを奪おうなんて、すくいとろうなんて思えない。できることは、何かを与え、何かを得る。田坂さんの「これから何が起こるのか」から言葉を借りれば
収益から収穫
への変化。自ら土を耕し、種を植え、水を撒き、期待と不安の中で自然と暮らし、そして収穫を得る。残念ながら、どのプロセスも絶対に外せない。
浮かび上がる世界
梅田さんが「ウェブ人間論」でまとめで語った梅田さんと平野さんの「もっと深いところでの人生観の違い」というのが、梅田さんと平野さんと違いではなく、梅田さんと僕らの違いではないかと思う訳です。
平野さんは「社会がよりよき方向に向かうために、個は何ができるのか、何をすべきか」と思考する人である。まじめな人なんだなぁと、話せば話すほど思った。平野さんは「人間一人ひとりのディテールをミクロに見つめること」によって、「個の変容」を考え、その集積として「社会の変容」を考えようとする。
後半は少し変えるべきかもしれません。
”平野さんは「人間一人ひとりのディテールをミクロに見つめること」しかできないから、「個の変容」を感じ、その集積の結果として「社会の変容」がただあると思う。”
僕らにできることは、ただ日々の中で自分たちの感じる正しさの中で行動しながら、ネット向こうのリアルとインタラクションし、学ぶことだけ。総意とは、中庸や平均値という1つの意見ではなく、多様な視点から浮かび上がる結果にすぎません。
経済の力
かといって「はてな」が単純にNPOというわけではない。僕らはもう1つの重要な世界である経済の力も知っています。交換経済としての金銭は、時間を交換を超えた価値の交換手段としての非常に有効なものです。予測市場や「はてなアイデア」も経済です。
エコという言葉の語源はギリシャ語のオイコスという言葉で「家や生活、それを取り巻く環境」という意味だそうです。そして「オイコスのロゴス(論理)」がエコロジー(生態学)であり、「オイコスのノモス(秩序)」がエコノミー(経済)になります。
「はてな」が作り上げているのは継続可能な「系(エコシステム)」です。このエコには経済も含まれている。もちろん、どちらに重きを置くかは自由です。
いやいや、僕も言っているだけではだめですね。行動で示さないと。2007年をそんな年にしようと誓った年の瀬でした。
![]() | ウェブ人間論 梅田 望夫 平野 啓一郎 新潮社 2006-12-14 by G-Tools |
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