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コミュニティはマネージメント手法なんだ

 最近、「コミュニティってなんだろう」ってことを考えていたのですが、1つの回答としてはコミュニティはマネージメント手法なんだなって。もちろん、マネージメントというのは、経営という意味からプロジェクト・マネージメントまで幅広く含みます。


Community Driven Commercial Development
 なんとなく予感がしたのはIBMがそっとスタートしたProject Zero。Project ZeroはRESTベースのWebアプリケーションをGroovyやPHPを使って開発できるWebアプリケーションフレームワーク。FAQを読むと、これがオープンソースプロジェクトないことがわかります。

Can I contribute to Project Zero?

IBM is following a Community Driven Commercial Development process for Project Zero.

 Community Driven Commercial Developmentという、すごいあけすけな分かりやすい名前のものが目にとまります。では、これがIBMにとってどのような意味を持つのかということ書かれています。

Why does IBM think Community Driven Commercial Development is a good strategy?

The Community Driven Commercial Development process is designed to open up IBM's approach to commercial software development by asking customers to weigh in on future product releases as they are being developed. Today IBM's software development is estimated at 35% open source, leaving 65% of development behind closed doors. We want to build stronger ties to our customers and users, so we're providing a panoramic view of the development process for Project Zero. With regular milestones throughout the development of a release, users get the opportunity to see what’s coming, provide feedback, and help set priorities. Suggestions and decisions throughout the development cycle are logged out in the public for educational and historical purposes.

 IBMのソフトウェア開発のうち35%もがオープンソースというのも驚きなのですが、残り65%についても、いくつかはリリース前の製品を顧客やユーザーに公開し、そのフィードバックを受けて優先順位の決定などを行うようなことも考えていると。


コミュニティがなければ意味がない
 またもIBMですが、Rationalが発表した分散開発プラットフォームのJazzも興味深いことが言われています。ITアーキテクト Vol.12には開発を主導したエリック・ガンマのインタビューが書かれています。Jazzは(まさに音楽のJazzのように)緊密なコラボレーションによるソフトウェア開発を実現します。

地理的な制約を超え、協調的であり、その中で多くの人が一緒に、同時に働けるプラットフォーム

今後は、コミュニティをベースにしたソフトウェア開発がさらに進むだろう。その先にあるものは、開発メンバーだけでなく、顧客も開発中のソフトウェアにアクセスでき、それが今、どういう状況にあるか、どんな問題が起きているかを把握できるようになることだ。

考えてみてほしい。もし、私が世界一すばらしいソフトウェアを作ったとしても、それを一緒に育てるコミュニティがなければ、まったく意味がない。

 もちろん、このJazz自身がCommunity Driven Commercial Developmentを採用しています。

 このアプローチが良いか悪いかは別としてIBMが考えていることは明快だと思っています。コミュニティというマネージメント手法を通じてビジネスをしようということです。思い返せば1年前のJavaOneでIBMの基調講演はエリック・ガンマを招いたEclipseコミュニティの話でした。彼らはEclipseから学び、コミュニティの持つ力にきちんと気づいていたのでしょう。


彼らという存在から、マネージメント手法へ
 ちょっと前まではコミュニティは「趣味の集まり」であり「消費者集団」であり「彼ら」でした。民主化するイノベーションの時代は確かに良い本でしたが「彼ら」のことしか書かれていなかったように思います。

 しかし、OSSやWeb2.0を越える中でわかったのは、関心によって集められたコミュニティがすごいのではなくて、インターネット(正確には電子的媒体を前提としたネットワーク型のコミュニケーション)を利用したコミュニティという手段がすばらしく効果的だということでした。

 では、これはソフトウェア開発だけの問題かというと、そんことはなくてウィキノミクスでもマーベリック・カンパニーでも書かれているように経営/経済手法としても利用されるわけです。


コミュニティ経済の問題は富の配分
 ですが、まだまだ問題はあります。コミュニティを利用して経済的な益を得た場合に、それをどうコミュニティに全体に還元していくのか。ここについても賞金とかではなくてインターネット的な解決策が求められるはずです。小飼弾さんは予測する力 養成講座〔セオリー〕vol.11の中で、次のように述べています。

ウィキノミクスのような場で重要なのは、参加者がムカつかないこと。場ができると胴元が儲かるのは間違いないのですが、その額がかなりになった場合、誰もが納得が行く分配ができるか。

それはマイクロというよりナノレベルでの支払いシステム。いわばナノペイメントが機能すればネットにおける経済システムはもっと機能する。それが文化的な道徳にまで昇華されれば、もっと大きな変化になるでしょう。

 これは真剣に考えるべきことです。危険なのはコミュニティがムーブメント化されたときにコミュニティ脳ではない人が参加してきたとき。そういう人はこれまでと同じスタイルでの富の配分を求めるはずです。オープンであることも意味なんて深く考えない。そのときになんと答えるのか。結論としては旧大陸も持ち込みつつ、新大陸と行き来するしかないけど、本質的には理想論だけのムーブメントであってほしい。誰がなんと言おうと義理人情をかなぐり捨てて、自らの直感のままに進んでほしいと思うわけです。


コミュニティハックス?
 コミュニティはすぐに手法となるでしょう。きっとコミュニティハックスという本が出てテクニックとツールがあふれることでしょう。SNSやBlogにはコミュニティ対応保証マークが付くのです。ま、それもしかたのないことです。Jazzだって、コミュニティというものを枠組みをソフトウェア化(固くする)するための方法です。

 忘れてはいけないことは、コミュニティの本質が人々のつながりであること。いかにつながり、そこにどんな力学が働くのかを複雑にしないで、そして直感のままに振る舞い続けられるか。コミュニティと脳の構造が似ているなら、コミュニティで試されるのは人の構造そのものなのだと思います。

 


482224587Xウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ
ドン・タプスコット/アンソニー・D・ウィリアムズ 井口 耕二
日経BP社 2007-06-07

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4532313333マーベリック・カンパニー 常識の壁を打ち破った超優良企業
ウィリアム C テイラー ポリー ラーベル 小川 敏子
日本経済新聞出版社 2007-05-24

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4063788555予測する力 養成講座〔セオリー〕vol.11 (講談社MOOK セオリー vol. 11)
第一編集局セオリープロジェクト
講談社 2007-08-03

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2007年08月12日 23:40に投稿されたエントリーのページです。

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