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クラウドを使いこなすのに必要な5つの事

 ちょっと前になってしまいましたがクラウド研究会で東急ハンズさんのGoogle Apps導入事例を聞くことができました。メール(ASPのPOP/SMTP+ローカルメールクライアント)とスケジューラー(Webベース)を、それぞれGMailとgCalに移行したというものです。

 プレゼン自体も面白かったのですが、非常にうまくクラウドを使っているという印象だったので、そのポイントをまとめてみました。


セキュリティよりもソーシャルハックを気にする
 東急ハンズは事例として公開されているため、問い合わせを受けることがあるそうです。その中で多いのが「セキュリティが気になるのだが、どうだ」という質問。それに対する意見として言われていたのが「インターネットのメールは盗聴できると思うけど、それがGoogleのディスクの上に乗った瞬間に危険だとなるのはよく分からない」とのこと。思わず笑ってしまいましたが、確かにその通りですね。

 東急ハンズでは「むしろ身内の漏洩や安易なパスワード設定が怖い」ということで、シングルサインオン機能を利用してログインIDをメールアドレスではないものにしたり、外部からの利用制限をかけているそうです。クラウド側のセキュリティ問題は確かに色々あるのですが、それ以上に足下の対策が重要です。


オンプレミスの比較対象を持つ
 東急ハンズでは、DWH機能についてはC言語プログラムやシェルを多用した処理をしており、500万SKUであっても30万円のサーバで問題なく動いているそうです(おそらく帳票が出れば良いという話でしょう)。

 講演途中で「他のGoogle Appsは使わないのか」という質問があったときに「例えばGoogle Videoも検討したが、ビデオに映っている商品のコードや売上情報を一緒に表示しないと意味がないので、使えないという結論」と答えていました。それに対して質問者が「いや、Google Docにデータインポート機能があるから、それとGoogle Sitesと組み合わせればできるのでは...」と言いかけたところで「それなら30万円のサーバでやりますね」と笑いながら返されていました。

 オンプレミスで「このぐらいなら、このコストでやれる」という感覚があるので、なんでもかんでも「それクラウドで!」にならずに冷静な判断ができるのだろうなと。


サービスレベルとうまく付き合う
 Google Appsは可用性が99.9%とうたわれていますが、これは年間で8時間以上のダウンタイムがあるということ。これについては「可用性が高いとは言えない」とばっさり。また、バグにしても「25Gまで使えるはずなんですけど、表示が7Gになっていて問い合わせ中です」。

 じゃ、これを問題視しているのかというと「まぁ、所詮メールだし。容量も使い切っている人がいないからいいんですけど」ぐらいの感覚。その他、いくつか「これはね、きっと仕様バグです」というのを指摘されていました。「外資系だし、そもそもサポートなんか期待していないから自分でFAQ見て解決するようにしている。そこに営業コストをかけるぐらいなら機能をあげることに注力して欲しい」と。

 いわゆるエンタープライズ品質というと、99.999%(ダウンタイム5分)ぐらいが求められることも多いと思います。でも、そこまで持っていくコストというのはバカになりません。「サービスレベルを高めて問題をなくす」ことよりも、「このサービスレベルではどういう影響があるのか」を考えながら、うまく付き合うというのが良いのだと思いました。


現実的な移行プランを持つ
 クラウドへの移行は、現在、手元にあるデータの移行がテーマになる場合が多いです。東急ハンズさんでは、平行稼働を3ヶ月間して順次切り替えを行っていき、現行データの移行は「いっさいしていない」そうです。「過去のメールが必要なら、ローカルのメーラーを見ればいい」ということで思い切ったとのこと。

 また、クラウドと直接関係ないですが移行についてのテクニックも秀逸でした。3ヶ月間の移行期間では「最初に各部署にいる"ちょっと詳しい人"にIDを発行して使ってもらった」と言います。「そうすると不思議なもので、部署内で『あれ、それ何!?』というような人が出てきて導入したがる。で、情シスに『IDを追加発行してもらいたい』という問い合わせがあったら『発行してやらんこともないけど』と言えるw」。結果として、自然に移行が進んでいったそうです。


ユーザーとして正しく期待し、正しく行動する
 最後のまとめとして「クラウドは社会/公共インフラにあたるもの。ぜひ高い倫理観を持って欲しい」と提起されていました。これはクラウドの本質を良く理解された上での発言といえます。クラウドにはガバナンスの問題が指摘されることが多いですが、半分ぐらいは倫理観といえるレベルだと思います(突然サービスを終了しないとか、問題があったときにすぐ開示するとか)。

 クラウドを使う場合、「SLAがどうこう」ということも当然大事ですが、所詮、被害の軽減策に過ぎません。根源的には倫理観というも大切です。素晴らしいのは、こうした提言を事例発表の中で行っている点でしょう。クラウドに対して過度の期待をせずに、きちんと向かい、出来る行動を起こす。こうすることで"ただの利用者"から"活用するユーザー"や"独り立ちできるユーザー"になっていくのだと感じました。

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2009年08月21日 20:40に投稿されたエントリーのページです。

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