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茶室とインテリア

 本の帯(もしくは袴、腰巻)には「日本人は、なぜ靴を脱ぐ!?」というわけで、日本の暮らしの中にあったデザインを通じて、現在の建築を読み解くといった趣旨の本です。

 面白かったのは帯にある話で、ヨーロッパとの建築様式の違いを、

椅子の文化と座の文化の違い

 と指摘し、だからこそ日本人が靴を脱いで椅子に座る行為を、

ところが履物を脱いで椅子に腰かけるというのは、よく考えるときわめて奇妙な行為です。本来、靴を履いたままの文化だから椅子があるわけです。

 と言います。なるほどぉ。こうした家具に対する違和感というのは僕らの中にもある気がします。例えば畳の部屋に置かれたタンス。この理由は、

明治以降の西洋化の一端として、「家具」という概念が本格的に流入してきたとき、日本人はとまどったはずです。<中略>そもそも日本古来の住居が、はたして建築と呼べるものだろうかという疑問があるからです。日本の住居は、もしかすると巨大な家具だったのではないかとも考えられます。

 これも、なるほどですね。家具と同じように部屋の分割という概念も、日本古来には曖昧であったとも指摘してます。

もともと日本の建築には柱と床しかありません。それが次第にいわゆる建築になっているプロセスで、引きちがい戸が発明されました。機能的には御簾のようなものの延長です。当時、格別に2つの空間を分割するものだという認識は薄かったかもしれません。実際、引きちがい戸は開いているときが正しい状態で、何事かがその内側で起きるとき、行なわれるときだけ、閉じられるものです。

 筆者は、こうした建築様式の根本を"変化への許容"から生まれていると考えています。自然とともに生きることを前提に建物そのものも変化させてしまう。

日本のように自然とともに生きるなら、自然が変化するように人間の生活もどんどん変わるのが当然です。かつては、それが衣替えに象徴されていました。夏になると夏障子に変えるように、建物そのものも衣替えします。襖や障子さえ季節によって入れ替え、風通しを演出するわけです。

 これは西洋的な自然をコントロールしようというアイデアとは大きく異なるものです。伊勢神宮の式年遷宮も非常に面白いのですが、自然が持続的な存在であり、人間や建築はうつろうものだという概念がはっきりしていると感じます。


日本的なシステム開発
 さて、あいかわらずシステム開発につなげるわけですが、もちろんアジャイルが浮かぶはずです。アジャイルがトヨタのカンバン方式や見える化を参照しているのは有名ですが、トヨタがその考えに至ったのも偶然ではなく、日本の文化的な背景があったからだと思われます。
 それから全体設計も日本人の苦手な分野かもしれません。

西洋では、最初から数学的て秩序的な都市づくりがなされているとよくいわれます。東洋では、<中略>あえていうなら位相幾何学的な街です。西洋では、グリッド状や放射状に秩序が作られますが、日本の場合、瞬間、瞬間でできています。<中略>全体を秩序だてないで、回遊している人間の動線と、その視線によって、都市の景観が展開されているわけです。

 似たような話は抽象化によるシステム設計?というエントリにも書きました。モノに対して実物のスケールに正確というよりも、より精神論的な正確さを重視するわけです。

 システム開発というのものは西洋ではじまったものです。だから、その様式にはたぶんに西洋建築のフレーバーが取り入れられているように感じます。しかし、昨今のSOAの流れにもあるように、より変化に適応し、フラジャイルなシステムが求められています。

 日本人だからこそ考えられるような日本的な設計・構築というのが存在するのではないでしょうか。ナショナリズムとか、そんなものではなくて、あえて批判的に現在のシステム開発を捉えるのも大事な作業だと思います。
 
 

487502388X茶室とインテリア―暮らしの空間デザイン
内田 繁
工作舎 2005-09

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2006年09月05日 20:00に投稿されたエントリーのページです。

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