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構造によって表現を創る

 システム開発に限らず、仕事をしていて「お、センスいいな」と感じる人は、たいてい"構造によって表現を創る"ということが良く分かっています。

表現:「そのモノが伝えたいこと」。当然、相手によって受け取り方が違うため、伝えたいことが、そのまま伝わることはありません。

構造:「そのモノを構成する要素の組合せ」。静的なもので仕様書に書き出すことが可能です。誰がみても同じですが、視点によって表現が変わります。

 よく勘違いしてしまうのが表面です。

表面:「モノに表れている見た目」。これも静的ですが、一面的なものです。表面は1つの表現しか持ちません。


 センスを感じない人の仕事は往々にして「表面」に終始してしまいます。表面の問題は、まさに一面的だということです。構造がしっかりしている表現は、どの方向から見ても同じ表現を感じることができます。しかし、表面だけで作られた表現は、ちょっと視点をずらすと矛盾、重複、誤解などを生みます。

 構造があるモノは立体的な建物です。どの角度から見ても、矛盾や誤解はありません。建物としてしっかりと立ち上がり、どの角度から見ても表現を持っています。また、インタラクションをしても、早々壊れるモノではありません。見ている側のリテラシによって、どこまでも関わっていけます。

 表面だけのモノは建物を色んな角度から描いた絵です。1枚を見ている分には整合性がとれていても、それらをかき集めてくると矛盾が生じてきます。また、描いていない表面は、すっぽりと暗黒になります。見ている側のリテラシが規定されているので、それから外れてしまうと絵がぼけてしまいます。

 表面は"目につくところ"ではあります。確かに視覚的に目でとらえられるのは、表面だけです。しかし、表面というのは、構造と表現の関係からすると通過点、単なる手段にすぎません。基本的に「表面をどうするか」と考えても結論が出ることはありません(発注者と会話をするために表面の議論をすることはありますが)。


 システム開発における"表面"というのは外部機能にあたります。テスト可能(繰り返し誰がやっても同じ結果がでてくる)なところです。1と入力すれば2と帰ってくる。その際、「どのように2が返ってくるか」というのは、えてして非機能要件といわれる部分になります。使い勝手やユーザビリティという名前で切り離されることもあるでしょう。

 しかし、本質的にユーザーが求めるのは「2が表示される(画面上に表れる)」ことではなく「2が表現される(自分に伝わる)」ことにあります。

 システムを作る場合に、本来、外部要件を議論するのは不毛です。不幸にもユーザーから表現ではなくて、表示しか言われない場合は、「何を表現したいのか?」という質問を適切に行う必要があります。そして、構造によって、それを表現するのです。そうすれば、ユーザーが他の視点からシステムを使っても間違いなく同じ表現が伝わるのです(それがあっているかどうかは別の話ですが)

 残念なデザイナは、往々にして表面だけの議論をしたがります。「この曲線が美しい」とか。うん、そんなのね、どーでもいいの。こういうヒトは誰かの真似をした"もっともらしい"表面を並び立てるだけ。"なんだか"格好いいけど、深みがない。そして、なによりも応用が利かないから、提案としてとても打たれ弱い。


 ただ、こういうことって学べる=教えられる面もあるから、鍛えていけばいいことです。いわゆるロジカルシンキングのツール群は構造の検証に使えます(検証にしか使えない点に注意)。表現はマーケティングや認識論などから入るのがイイでしょう。まぁ、そんなこと知らないでも天性でできちゃう人もいますが。

 ここらへんのニュアンスを共有できていると、表面がラフでも、表現と構造のコアだけで話が進みます。共有できていないと、きれいな表面を作っていかないと納得してくれないという自体になります(きれいな表面だけで納得してくれるという良さもありますが、まぁ、たいてい結果は不幸なことになります)。


 冒頭にも書きましたが、これは何もシステム開発に限ったことではありません。パワポの資料でも、建築でも、絵でも同じコトです。しっかりした構造と表現をもったモノに触れると、それだけでうれしくなります。

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2009年05月29日 01:15に投稿されたエントリーのページです。

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