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SOAは白身(しろみ)に使う技術

 僕がSOAとWeb2.0について考え始めて(SOAとWeb2.0)から10ヶ月あまりが経ちます。最近強く感じるのが「SOAとは何か」という議論が既に意味を失っているということです。そうではなくて「SOAを何に使うべきか」という議論が必要です。
 ここで、Web2.0が示している方向は非常に重要です。


Web2.0は遅れてやってきた
 そもそもWeb2.0というのは遅れてきたブームだと感じます。インターネットが登場し、すぐに起こっていたことはインターネットを使ったコミュニティの形成とイノベーションの民主化です。民主化するイノベーションに詳しいですが、2000年前後には"Xゲームスポーツにおけるツール"や"OSS"の進歩というのは、メーカーやベンダーではなくコミュニティから持たされています。全てインターネットなしには成り立たないものです。

 そして、ようやく2005年ぐらいからIT業界でのインターネット活用、マッシュアップやSaaSが本格化し、Web2.0の世界観が語られるようになりました。Web2.0がインターネット変革の最前線という捕らえ方もあるかもしれませんが、ようやく産業界にやってきただけではないでしょうか。
 Web2.0は、インターネットが産業(ビジネス)に影響を与え始めたという、現在のあり様を示した説明的単語であって、その本質はずっと前からそこにありました。


境界線を定義することが無意味になった
 2.0的世界とは卵が集まったようなものだと感じます。ボウルに入れた卵達は、黄身が混ざり合うことはないものの白身は境目をなくすように混ざり合う。

 Xゲームスポーツのコミュニティに所属する人々は、インターネットを通じてボウルの中に飛び込んできます。そこでは普通のユーザーも、カリスマユーザーも、サプライヤーも混ざり合っています。新しいイノベーションはカリスマユーザーが生み出します。そして、サプライヤーはそれを形にして販売する。
 このようなコミュニティでは企業も個人も殻の中に閉じこもっていることはできません。誰かがコミュニティの主体ではないのです。ボウルの内側すべてがコミュニティです。分かりやすくOSSで例えてもいいでしょう。Linuxの主体は誰ですか?Apacheの主体は誰ですか?

 こうした状況で企業が殻に閉じこもると何が起きるのでしょうか。イノベーションを囲い込んで知財権を主張し、自分だけが利益を得ようとすれば何が起きるでしょうか?そう、コミュニティの反発をくらうのです。

 インターネット上のコミュニティにおいて、もはや境界線を定義することにあまり意味はないのです(なお、卵のあたりは場と共創で有名な清水先生の論からインスパイアされています)。


どこまでがGoogleで、どこまでがAmazonか
 GoogleやAmazonでも同じようなことがおきています。彼らは、どこまでがGoogleであり、どこまでがAmazonなのでしょうか?

 Google Mapでマッシュアップされたサービスも、Amazonに書かれたレビューも、GoogleでありAmazonです。しかし、それらを作ったのはユーザーです。GoogleもAmazonがやったことは、コアとなる黄身の周りに白身を広げることです。
 GoogleやAmazonの価値は黄身だけで測れるものではありません。白身の中にある生態系までも含めてGoogleであり、Amazonなのです(極端にいえば、Googleの白身はインターネット上にあるすべてのデジタルデータとも言えるでしょう)。


SOAは白身(しろみ)に使う技術
 SOAは(そしてWeb2.0の技術も)白身のために使われる技術です。公開されたサービスにアクセスすることで白身の一部となります。一方でSOAを黄身の技術として考えてしまうと、まだまだ完成度は高くない部分もあります。

 ですから、SOAを利用したいのであれば企業にとっての白身が何であり、そこで生まれるべき生態系がなんであるかが分からないといけません。そうでなければSOAは何の意味も持ちません。
 SOAがテクノロジーマターでないと言われるのはこのためです。白身がなんであるかを決めるのはテクノロジーではなく人です。

 まず企業の殻をやぶること。そして、流れ出す白身でなんであるかを定義すること。これがSOAの出発点であるように感じます。ここらへんの話題は、おいおい具体的に掘り下げていきたいと思います。
 

4903241076民主化するイノベーションの時代
エリック・フォン・ヒッペル サイコム・インターナショナル
ファーストプレス 2005-12-09

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2006年06月25日 23:59に投稿されたエントリーのページです。

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