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頭数論はSI業界の確かな事実
別に藤田氏の言い方に違和感は覚えません。SI業界では確かな事実です。
SI企業の事業計画を考えてみると良く分かります。SI企業に対するM&Aをされている方から聞いたのですが、買収先の企業に事業計画書を作らせると、目標売上の数字に対して人月単価で割り算した人数が記載されているそうです。その売上の実現性は営業による案件の獲得でもありますが、重要なのは人材採用計画に他なりません。
つまりSI企業の事業計画とは人材採用計画のことであり、売上は人数に比例して増えるのです。
Web2.0企業では頭数に意味はない
で、藤田氏の発言に対して「理解が足らん」というメッセージが多く見受けられます。それは、もちろん正しい。
実はWeb2.0的なサービス企業は「理解が足らん」という話だけで頭数論を回避できてしまうのです。なぜでしょうか?
それは、はてなやライブドアでは頭数がいなくても売上が伸ばすことができるということなのです。収入モデルが違いますから。ユーザから利用料をとるにしても大量のユーザがいれば売上はあがります。あるいは利用者に対するリーチを企業に提供することもできます(広告モデル)。
ようは開発者の人数と売上にはまったく関係がないわけです(逆に言うと、いくら頭数がいても売上が伸びない可能性があることも示しています)。
藤田氏のところはSI企業ではないです。なので、あの発言は単なる分かりやすさではないかと思います。「弊社は優秀なエンジニアがいない、技術レベルが低い」とは言いにくかったのではないでしょうか。
SI企業は頭数論から逃れられない
SI企業は間違いなく人数と売上が比例します。今のところ他に方法がありません。システム開発が労働集約産業であることは明確ですし、人手がかかるのも事実です。クライアントへの説明から考えても人件費でお金をもらうのが説明が簡単です。
つまり、SI企業はサービス企業と違ってビジネスモデルとして頭数から逃れる方法がない。
だから、SI企業で理解ある社長が「人数ではなく技術レベルだ」といって会社のビジネスモデルを変えても、普通のSI業をしている限り絶対にうまくいきません。だってクライアントが理解できませんから。
よくいわれるのはコンサルへの傾倒です。戦略系のコンサルを社内に受け入れて、そこで利益を稼ぐ。でも、売上をあげるためには同じ頭数論を使うしかありません。
それが証拠にコンサル企業がSIセンターを持ちたがっています。彼らは売上が欲しい。そうしないと身が持たないからです。
はてなやライブドアの売上はいくらでしょうか?はてなは未公開なのでわかりませんが数億、ライブドアは2005年9月期で100億円(本体のみ)。
IBMが1兆3000億円、富士通(連結)が4兆7000億。2桁違います。ま、彼らはハードもプロダクトもあるので特別としても、中規模SI企業でも1000億はあります。1桁違います。
社員数を考えてもいいでしょう。ようはSI企業が規模を維持したままサービス企業になるなんて不可能なんです。
このままでは絶対に頭数から逃れられない。
では、どうするのか?簡単に言えば、業界全体で頭数と売上の相関がなくなればいい。SI業でそれを実現するためにはどうすればいいでしょうか。
これは答えのない議論なので結論は書けません。
ただ、まずい流れであることは確かです。
価格競争は負のスパイラルです。オフショアの台頭で大手ベンダーは利益を無視した安値攻勢に入りつつあります。それに引きづられて派遣業界の単価が下がっています。これが労働環境の悪化につながり心を病む人が増えています。
OSSは安価な選択ですが、それによってツールベンダーが崩壊しました。おかげで、これまでは手厚かった教育がなくなっています。初心者用の本が売れているのはツールの品質が下がったからに他なりません。OSSはデベロッパーの能力を上げたのでしょうか?格差が広がっただけなのかもしれません。
だから、プロダクトの売り先は経営者に向いています。SOX法対策や内部統制などを利用したバブルがおきていますが、それも一瞬のこと。市場は小さく、あっというまに競合であふれかえることでしょう。そして終われば次のブームを探さざるを得ません。
業界全体が緩やかな死を迎えようとしています。人も、企業も。
藤田氏の話を聞いて、SI業界でも「理解ある経営者が必要」と思った方がいれば、それは違います。それだけでは何の解決にもならないのです。頭数論はこういう背景を含んだ深くて暗い話なのです。
でも、暗い未来を想像していても解決にはなりません。明るい未来のためになにができるか、真剣に考えなくてはいけません。
僕はエンジニアを、人の力を信じたいと思っています。頭数なんてぶっとばすぐらいの何かが絶対にあるはずです。技術論、概念論、そして人の交流。様々な取り組みをしていくつもりです。

コメント (2)
「価格競争は負のスパイラル」というのは
こちら↓のページにある「頑張りスパイラル」だと
思います。
http://mazzan.at.infoseek.co.jp/lesson6.html
タクシーの運転手でも労働条件のキツさで
体こわす人が多いと聞きますし。
各個人が真面目に働きつつもマイナスの方向へ
落ちていくというのが怖いところですね。
投稿者: ばりたん | 2006年05月22日 17:14
日時: 2006年05月22日 17:14
頑張りスパイラル、確かに怖いですよね。まさにこの状況です。
リンク先にもありますが解がないわけではありません。人が豊かに暮らすということがお金だけではないはずです。特にソフトウェア開発はもっと自由に働ける気がします。
豊かさの再定義というのも重要な要素ですね。
投稿者: yusuke | 2006年05月23日 13:45
日時: 2006年05月23日 13:45