渡辺聡さん主催のEmerging Technology研究会に参加してきました。4月開催のお題は「SIer2.0」です(渡辺さんのレポートはこちら)。
報酬構造の問題
いろいろな議論があったのですが落ちていく先は同じで成果報酬の話でしょうか。特にモノに落ちない成果、いわゆるコンサルや調整などです。
結局、プロジェクトがうまくいくかどうかは「どんなシステムをどう作るのか」という事が現実的であるかに掛かっています。上流で言えばステークホルダー間を調整したり、問題点を明確にしたり。開発現場であれば、良い方式設計を行い良いリソースを集める。
しかし、こうしたシステム作りの環境を整えるという作業に対価が支払われません。上流であればプリ・セールスという言葉で片付けられ、現場では優秀な人物でも人月テーブルにはめ込まれる。
「日本って物文化だからね」という事も大きいとは思いますが、SIer・クライアント双方とも、この問題にはまっすぐ向き合わなくてはいけないでしょう。
「モノに落ちない成果」をどうやって保持すべきか
で、そもそも、そういう「モノに落ちない成果」をどうやって保持すべきかという議論にもなりました。大組織はたいへんですよね。組織にどう貯めるか?という話になるので。
個人的な考え方として、それはナレッジマネージメントという領域ではなく、ヒューマン・リソース・マネージメントやキャリア・デザインの領域だと思います。
結局、突き詰めれば知識の源泉は人です。ですから、もっと人が知識を生み出せるようにするのはどうしたらいいのか?と考える必要性があるでしょう。
そう考えるとナレッジ・データベースやBlogは一部のことで、人材交流、キャリア・カウンセリング、研修制度、報酬制度、職場環境まで、幅広い点が重要になると思います。
いかにお金をもらうのか?
そして「モノに落ちない成果」にどうやってお金をもらうか。これは難しい議論です。
僕の周りでやっているのは悩めるSIerさんからお金をもらう方式。技術コンサルティングとしてプロジェクトの現場に入って支援作業をします。
例えば10億の案件があったとすると1%でも1000万円ですから、それなりの価格をつけても大丈夫です。大きな組織だとやっていけないですが、小さな組織であれば十分です。常に新しい技術を拾うというのも、小さな組織の方が効率が良いでしょうし。
ただし、渡辺さんにも指摘を受けたのですが、それが単なるモジュールじゃだめだよねという点。技術コンサルはするけど、プロジェクトも見ないし、運営もしませんとなると、実装できないアーキテクチャ、運用できないアーキテクチャになってしまい、プロジェクトは失敗してしまいます。
そうならないためにSIerさんとちゃんと理解しあいながら、機能するモジュールにならないとだめです。
実装実現性
で、この点は僕なりにいろいろ考えているつもり。最近、クライアントによく言うのが「実装実現性」という言葉です。つまり、ちゃんとシステムとして実装して稼動することが可能なのか?ということです。この言葉において技術的な観点というのは、そんなに重要ではありません。
エンジニアに仕様を理解しもらうには、やはりビジネス・モデリングをして情報をブレークダウンすることが重要です。ステークホルダーの意思決定ラインを明確にして仕様がぶれにくくするのも重要です。
テストで重要なのはテストしやすい設計です。仕様書で重要なのは書きやすい書式です。実装で重要なのはエンジニアのモチベーションだったり、椅子の座り心地だったりです。さらに、仕様書が実際に書ける量なのかとか、実装できるスキルを持ったメンバーが集まるのか?とかとか。
このように「実装実現性」というのは、技術的に可能であるというレベルだけではなく、まさに作業として、モノづくりが可能であるのか?という意味を含みます。
モノづくりの成功は、モノづくりの環境がうまく作れているかに掛かっているのです。
(SI業界と比較される建築業界では、こうした環境づくりの指標がかなり明確です。分業もちゃんとできています。それは彼らの歴史が成せることです。SI業界はまだまだ赤ちゃんなのでしょう)
この点に注意しながら、技術コンサルをしていれば、少なくとも交換可能なモジュールとはならないという自信はあります。
なので、僕は今でも必ず、どんなプロジェクトでも実装作業をしています。ものづくりの現場から離れてしまうと、どうしても実装実現性に対するアプローチが甘くなる気がしてしまうのです。
感想
というわけで、もちろんSIer2.0の議論に終わりはないわけでET研も、そんなぐだぐだ感で終わりました(w。個人的には、大手SIerさんの悩みを直接聞けたのはうれしかったですね。そういう話は共有されないものなので。
あと、あれだけ発散する話であればマインドマップとかをつけた方がいいと思います。なんか、ちょっともったいなかったかな。個別の議論も面白いものがいっぱいあったけど、メモしきれませんでした。
というわけで、皆様、お疲れ様でした&ありがとうございました。
