JavaOneなどでエントリが遅れていたのですが、クリステンセン氏の"明日は誰のものか"を読んだあとに、セルジオ・ジーマン氏の「そんな新事業なら、やめてしまえ!」(原題:「RENOVATE BEFORE YOU INNOVATE」)を読みました。
どちらの本もイノベーションネタで、同じようなことを、ものすごく違う視点から語っていて面白かったです(ジーマンの本は「イノベーション」という言葉を入れた方が売れたのではないかと思ってみる)。
ジーマン氏はコカコーラのマーケティング最高責任者だったカリスママーケター。ジーマン氏の指摘は普通の企業が行っているイノベーションというのは間違っていて、リノベーションというほうが正しいというものです。
簡単にはイノベーションが水平的成長で「既存のコアコンピタンシーと資産で別の事をしようとする」であり、リノベーションは有機的成長で「コアエッセンスには手を付けないが、コアコンピタンシーと資産をグレードアップする」ということです。
違う視点で言えば、
リノベーション哲学とは「自分たちが売れるものはなにかまず見つけよう。それからそれが自分たちでつくれるものか検討しよう」
であり、
イノベーション推進派にとっての課題は、この機会をどううまく利用できても(別の言葉で言えば、いかに新しい製品あるいはサービスがすばらしくても)、消費者にそれを買うように説得しなければならないことだ。彼らの提案は「自分たちがつくれるものから出発して、売れるかどうか見てみよう」というものだ。
というように指摘しています。ただ、もちろんのこと、ジーマン氏の言うリノベーションとは、クリステンセン氏が指摘する破壊的イノベーションのことであり、ようは受け取り手の顧客企業が勘違いしとるねってことです。
こういう既存資産発想というのはIT企業が陥りやすいところではないでしょうか。技術的に可能である事と、市場が求めるものというのは乖離があるものです。マーケットに売れるであろうものを見つけてから、自分たちの本質をいかしつつシフトするというのは非常に難しいものです。
わかりやすい成功例はAppleのiPodでしょう。音楽を聞くということだけではなくて、音楽を楽しむ体験するためには、ソフトとハードの連携が必須であると気づき、iTunesとiPodを作成しました。そのために必要な音楽ファイル保存形式も買収で得たものですし、その他の技術も必要だからこそ手に入れたのでしょう。そして、iPod事業にはAppleらしさがあふれていました。
なお本の後半はマーケティング論になるので、そんなには面白くないです。ただ、ジーマン氏の口調とネタは楽しいですね。さっくり読めるのでお勧めです。
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