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ベストプラクティス消失が顧客主導の証

 ユーザー会がSAP幹部に直接質問、「日々の疑問を聞く」より。

ERPパッケージは業務に関するベストプラクティスを集合させたアプリケーション。ERPを使うことは、これまで業務に従事していた人を減らして、コンピュータに肩代わりさせるともいえる。

 都築氏はこのERPの効果を取り上げて、「アウトソースすること」と表現した。しかし、SAPはESAでユーザー企業自らがビジネスプロセスを柔軟に組み替えられることをアピールしている。この戦略は、ベストプラクティスに従って業務を進めればよかったユーザー企業にとって、「選択肢が増える」(都築氏)ことを意味する。

 @ITでの拙著“街づくり”で理解するシステム構築入門でも取り上げているのだが、パッケージ製品とはベストプラクティスという名の元、ユーザー不在で作られたものだったように思う。特にERPの場合には業界のコンサルタントやトップ企業のノウハウが混在した理想像あるいは、平均像だった。しかし、理想の家族、平均の家族が存在しないように、ベストプラクティスは誰にも適用しがたいものだった。
 ORACLEラリー・エリソン氏の「ERPはユーザーがパッケージに合わせるべきだ」という発言が思い出される。でも、そんなわけはない。そんなことしたら他の企業と差別化できないではないか。

ベストプラクティスの消失が生み出すもの
 こうした「ベストプラクティスの消失」という事態は顧客へのフォーカスに他ならない。大手ベンダーが、ようやく顧客という存在に気づいたのだ。
 しかし、顧客が主役になれば新たな悩みが出てくる。それは顧客自身がビジネス戦略におけるITの役割を、より明確にしなくてはならないことだ。これまではビジネス戦略をそれなりに練っていれば各社が必死に売り込みに来てくれた(もしかしたら、たいして練っていなくても)。これからは自社のIT戦略が明確でなければ、どのように導入してよいかもわからなくなる。というか、これまで以上に"現行業務をIT化しただけ"になってしまう。
 ここで顧客に求められるのが「ソフトウェアの可能性への着目」だ。既に開発は「顧客によるプロダクトコントロール」が可能になってきている。そして「オープンソースとイノベーション」が助けになるだろう。

ソフトウェアの可能性への着目
 まず必要なのはソフトウェアの可能性への着目である。
 なんか言い古された言い方かもしれないが、"現行業務をIT化"つまりコスト削減から、"イノベーションのためのIT化"つまり価値増大(利益かは別問題)へとシフトしなければならない。Aという業務がシステムで可能かというだけでなく、システムではBということができるが、どう業務に生かすのかということだ。
 たとえばWebサービスというのは、そういうソフトウェアの可能性が先行したものだ。自社システムの切り売りなど、既存のビジネススキームでは考えられないことだった。しかし、そういったチャレンジが大きなメリットをもたらすことは既に証明されている(Amazon.com、eBayなど)。

顧客によるプロダクトコントロール
 アジャイル開発の価値は顧客価値へのフォーカスである。"短期間でイテレーティブなタイムボックス開発"も"機能視点開発"も、すべては判断を顧客に委ねるための努力だ。逆に言えば、判断できない顧客にアジャイルは向かない。アジャイルを開発チームのためのエンジニアリング手法・プロジェクトマネージメント手法としてだけ考えるのは片手落ちだ。もう片方に顧客によるプロダクトコントロールがなければ意味がない。
 プロダクトコントロールとは判断だ。世の中のリソースは有限であり、コスト・期間・機能(品質)は互いに相反する。エンジニアは「どう作るか」を決めればよい。「何を作るか」を決めるのは顧客だ。

オープンソースとイノベーション
 一方で、オープンソース化が訪れている。これは"知識が共有される" = コモディティ化という結果論ではなく、"イノベーションがオープンなコミュニティから生まれる"ということである。"3人寄れば文殊の知恵"とはよく言ったもので、それがソースコードを媒質に3万人、30万人、300万人の知恵が集められるようになった。
 自社のシステムをオープンソース化しろとは言わない。しかし、オープンソースコミュニティの力は有意義に使うべきだ。そして、そこから生まれたものをフィードバックすればよい(ソースコードかもしれないし、お金かもしれない)。コミュニティの声に耳を傾け、よく見回すのだ。
 もし、アーキテクチャとして機能するならオープンソース化してもよいだろう。オープンソースによって業務ノウハウが流出するなら作りが悪いのだ。業務ノウハウを切り離せるようにアーキテクチャが作られていなくてはならない(ERPの失敗を思い出すのだ。誰も手垢のついた物は欲しくない)。

まとめ
 ようやく顧客が主役になれる時代が見えてきた。ここでダークサイドに戻ってはいけない。
 次の注目株SOAやESBにはダークサイドのにおいもする。それに、多くのオープンソースコミュニティに大手ベンダーの陰が見え隠れしている。でも、彼らもわかっているはずだ。手綱を強めればコミュニティは逃げ、手綱を緩めれば自分の支配力が失われる。彼らもまた、光と闇の間をさまよっている。
 顧客自身も、エンジニアも、SIerも、それぞれが自分の立場を明確にしなくてはいけない。そういう時代なのだ。

(む、ちょっと大げさに書きすぎたなぁw)

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コメント (2)

foo:

質問なのですが、このサイトのRSSを自分のローカルのRSSリーダーに登録しているのですが、RSSを読もうとしたときにいつもamazon \1050 24時間以内に送付っていうページがブラウザーに表示されます(ブラウザーと連動しているリーダーなので)。このサイトだけがそうなるのですが、どうしてかおわかりになりますか? blogはぜひ読みたいのですが、この現象が続くので残念ながらRSSリーダーから削除しようと思ってます。その前に念のために確認です。もしこちらのローカルな環境の問題だったら申し訳ないんですが。
では。

yusukeです。fooさん、そんないじわるしているつもりないですw。一度消していただいてから、右側にあるRSS1.0、RSS2.0、ATOM0.3を順番に試していただけますでしょうか。ちなみに、RSSリーダの製品名と読み込んでいるRSSのバージョンを教えてください。よろしくです。

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2005年07月11日 11:25に投稿されたエントリーのページです。

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