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ポストモダン・マーケティング―「顧客志向」は捨ててしまえ!

今のマーケティングは、顧客を大事にしすぎる。一方の顧客は、マーケティングが、自分たちを重視していることを良く分かっているから、それをうまく利用する。もっともっと何かが欲しいと。そして、企業はさらに顧客を大事にする。
しかし、いつまで、こんなことをするのですかと。そうではない。顧客を無視し、否定し、拒み、じらし、待たせ、望みをかなえずにいなさい。それらは、顧客の欲望に火をつける。
エルメスを御覧なさい。バーキンは予約待ちで手に入らないからこそ、人気があるではないですか。
セグウェイを御覧なさい。ITと呼ばれた謎の商品は、どれほどの顧客の興味を集めたのでしょうか。
ハリーポッターを御覧なさい。タイトルだけ公表して発売は延期され、在庫は足らないと言われ、事前リークは一切なく、筆者は神秘のベールに包まれている。おかげで、グッズ、映画の売り上げは、天井知らず。
そう、クリステンセンも言っている。顧客が望む継続的なイノベーションばかりをしていると、いつか破壊的イノベーションに足をすくわれると。そのためには、顧客を要求を、”今は”かなえられない技術にも注目すべきだと。

と、ここまでは、かなりいい感じではある。

が、しかしだ。顧客は、エキサイトできるトリックにはお金を出すという内容は、いささか刺激的だ。そう、犯罪まがいの、というか犯罪者の名前も並ぶからだ。20世紀の中期に活躍したペテン師たちで、今なら確実に逮捕される面々。そして、実際に逮捕されてしまったマーサ・スチュアート。さらには、O神源太の名前を見たときには、苦笑してしまった。さすがに犯罪ではないが、テレビショッピング的な、がまの油売りテクニックは、確かに物が売れる。


さて、これを読んで、どう感じるのか。
ある意味、筆者がこの本で行っていることは、マーケティング歴史をさかのぼり、犯罪者まがいの行為を並べているに過ぎない。ただ筆者が、ハーバードビジネスレビュー上で、顧客指向の代表、フィリップ・コトラーと議論を戦わせたと聞くと、うーん、と唸らずにはいられない。帯には、「面白い、素晴らしい」というコトラーの言葉も乗っている。

ま、マーケティングを真剣に考えている人は読まないほうが良いだろう。血圧が上がること請け合いである。むしろ、"物売り"(否マーケティング)の歴史を知るための、面白い読み物として見れば価値があるかもしれない。こんな内容を紹介しているので、文体もくだけているし、様々なブラック・ユーモアも散りばめられている。行き過ぎた顧客志向に対する警鐘というぐらいか。

ポストモダン・マーケティング―「顧客志向」は捨ててしまえ!
スティーブン・ブラウン


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2005年02月24日 13:30に投稿されたエントリーのページです。

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