イノベーションへの解というエントリに、Uさんからトラックバックをもらったので、BlogとSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)のイノベーション性について詳しく書いてみたい。
Blogのイノベーション性
Blogは、CMSという市場においての破壊的イノベーションと考えている。
まず、サイトの構築ということを考えると、スクラッチ(手作業で0から)で作成するか、CMS製品に頼ることになる。
スクラッチでは、人月のかけ方で規模が決定する(システムは別として)。Dreamweaver、GoLive、ホームページ・ビルダーといったものがあげられるが、プロから一般ユーザーまで、一通りカバーされているし、現状ではイノベーティブな要素はない。
一方、CMSとしては、インターウォーブンのようなエンタープライズレベルのCMSしかなかった。
ところが、Blogの登場によって、記事が書けるというユーザーのある程度のニーズを満たすものができた。これにより、下位市場(一般人、および一部の中小企業)では爆発的にBlogが普及してる。また、これによりスクラッチ市場のパイも奪われただろう。もちろん、スクラッチ市場でも、デザイナがBlogをうまく使っていくという動きが出てくることが考えられる。Webサイトには、システムが必要であるというのが僕の主張だ。
なお、Wikiがブレイクしなかったのは、スクラッチと同じく、作成対象がページだったからだ(参考:BlogとWiki)。人々は、Webページが作りたいのでなく、コンテンツをWebに掲載したいだけなのだ。
現在、Blogが下位市場にとどまっているのは、ECサイトや複雑なサイトを作れないという問題があるためだ。また、ワークフロー制御も行えない。そのため、エンタープライズレベルのCMS企業にとっては、まだまだ利益率の高い市場が残っていると安心している。
しかし、プラグイン可能なBlogも増えてきている。複雑さの解決には、なにか良いアイデアが必要だろうが、ワークフローなどはグループウェアの機能を利用すればよいだけだ。たとえば、Zopeが狙っているところだといえるだろう(が、安いとはいえないかもしれない)。
この市場には、2005年以降も積極的な参入が予想されるため、非常に面白い市場といえる。なにか付加的な要素を取り込んだり、ニッチなニーズに答えられるものがあれば成功する可能性は高い。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)のイノベーション性
まず、SNSをどの市場と位置づけるのかが難しい。SNSのビジネスモデルについては、ITMediaの記事:ソーシャルネットのビジネスモデルが見えてきた?――「mixi」の今に詳しい。
結局、SNSは、「出会い系」を健全なイメージにしたため、直接儲かるようなものではない。出会い系の場合は、参加そのものや、なんらかの出会いへの報酬としてビジネスが成り立っている点では、旧来の結婚相談所と同じだ。一方、SNSは参加のメリットが見えにくいという問題があり、そこがSNSのわかりにくさを助長している(SNSで儲かる方法が確立していない以上、市場創出型ともいいきれないし)。GoogleのOrkutですら、Googleである意義を見出していない。
そんなわけで、現段階では、SNSにイノベーション性をみいだすことができないように感じている。
コミュニティという視点
ただ、SNSに捨てきれぬ思いがあることも事実だ。以前、Orkutに参加したときに書いたエントリ:orkutデビューでは、南さんのエントリ:Social Networking と Weblog が行き着くサービスを、考えて見るに刺激を受けたが、SNSがクローズドであるがゆえに、情報の濃さという点でチャンスがあると書いた。しかし、日本人という社会性の低さのためか、SNSに良い情報が集まっていると感じたことがないのだ(日本には、2chという最強の掲示板サイトがあるのも原因の一端かもしれない)。南さんも、
SNS で自分と近いネットワークに居る人を発見し、Profile ページからその人の Weblog を知り、考え方、価値観のコンテクストを知るというプロセスは、非常にスムーズになった。
と書いているので、結局のところSNSの恩恵は出会いだけであり、情報の集積には役立っていないということになる。
そう考えてくると、SNS自身が、RSSなどのFeedを積極的に配布し、1つのBlogかのように振舞えばよいのではないという解決策も見えてくる。はてなの中では、日記同士が強制的にキーワードによってリンクされるわけだが、Blog同士、SNS同士でこれができたらおもしろい。一方で、テクノラティのように、外部からBlogに最適化された検索エンジンをかけるという手法も用意されている。
なんにせよ、SNSも、このままでは会員数が増えるだけで「で、なに?」ってことになってしまう。Mixi中毒の人がいるように、それぞれが小さいコミュニケーションでも、人がたくさんいるだけで楽しいということはあるかもしれないが、もっと有益な情報の集積が進むような仕掛けをしないこと、ビジネスラインには乗ってこない気もしてくる。Greeも株式会社化されたことだし、SNSの意義というのは、2005年のテーマなのかもしれない。
